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2010年12月12日
 ◆ PFCローター交換
カテゴリー:GT-R

富士でトドメを刺したローター


メーカー様の点検を終え、詳細な報告書と共に戻ってきた。

【ローターに関する御報告書】

・車両: R32 スカイラインGT-R
・主な用途: 富士スピードウェイ サーキット走行
・アイテム: PFC 3D レーシング ローター 362mm
・ブレーキ仕様: AP Racing CP5555 + PFC 93 材
φ50 のブレーキダクトをフロントのみ引いている


<概要>
・11 月23 日 富士スピードウェイをトータル10ラップ走行
・ピットでローターが斑模様になっている状況を確認。
・走行後確認のためローターを取り外したところ、右側裏面の内側1箇所に長さ12mmのクラックを確認
・キャリパー温度は左右とも180℃前後(サーモシールによる)。
・ブレーキダクト全開
・(ブログより)今回の走行に合わせ、エンドレスパッドからPFC #93 に変更。ローター表面の被膜をフラップホイールを用いて除去した
・気温16℃(当日は弊社スタッフが別件で富士におりました)

<検査所見>
左右のローター表面はワイヤーブラシのような引っかきキズが入っており、今回の走行後に被膜の除去を行った状態と思われるが、キズの入っていない箇所には概要に明記した斑模様の残りが確認できる。
ローター表面中心部に細かいヒートクラックありローター表面が斑点模様になっていることが確認できる。

PFCパッドは当り付けを行ってローター表面にカーボン皮膜を形成させることで、本来のパッド性能を発揮しますが、ブログのピットでの画像でもローター表面は斑点模様となっており、走行中はカーボン皮膜の形成が不十分な状態であったことが確認できます。
カーボン被膜が十分形成されなかったのには3 つの原因が考えられます。

・新品パッドの場合には焼き入れの不足(温度不足)。使用済みの焼きの入ったパッドの場合、当たり付けではパッド表面が硬化しているのでローターがパッドをはじき返してカーボン皮膜が形成しにくい。

・当日の気温が16℃程度であり、ブレーキダクトの冷却もあってローター温度が被膜を形成できる適正温度まで達していなかった。

・エンドレスから変更の際にフラップホイールで表面を研磨したことで、表面の平面度が失われて部分的な温度差が発生した。

FSW は1.5km のストレートが災いしてブレーキの過冷却が発生しやすいサーキットです。春道様の車両はフロントにφ50 ダクトを装着し、ストレートスピードは295km/h まで到達されるとのことなので過冷却を防止するための温度管理が必要な車両と言えます。
従って、今回のクラックはカーボン被膜が十分形成できない温度まで冷却されたローターが1 コーナーのブレーキングによって一気に温度上昇したことによる急激な温度差と、カーボン被膜の形成が不十分であったことによる部分的な温度差によって発生したと判断します。


<対策>
・ブレーキダクト
ローターの状態を確認し、必要に応じてダクトの開口部をふさぐことでローターへの強制冷却を抑制してローター表面温度管理をおこなって下さい。ローター表面に斑点模様が発生している場合は過冷却状態です。R32GT-R はブレーキ周りへの導風が設計状態から考慮された車両ですので、気温が低いときにはダクトを全閉にすることも必要です。
キャリパーはサーモシールが200℃未満であれば問題ありませんのでバランスをとりながらの対応を行ってください。

・被膜除去
被膜除去を実施する際には板等に張り付けて平面を確保した紙やすり等での研磨を行ってください。
ロータリー研磨では削りすぎが発生し表面に微小な凹凸をつくることとなり平面度が失われやすく、部分的な当たりの違いや温度差が発生することにより、カーボン被膜生成不良やクラックの原因となります。

・ブレーキパッドの特性
PFCブレーキパッドの特徴をふまえて、季節による温度管理の実施を行ってください。93 材は、摩擦が発生する温度域に達すると急激なバイトを発生させることが特徴ですので、バイトが発生するとローター温度も急激に上昇します。その為に適正温度を外した使用ではローターへの温度差による負荷が高いと言えます。相手側のローターもブレーキパッドの特徴にあわせた管理の必要があります。
プロのレーシングチームは、ブレーキパッドの特徴をふまえブレーキ周りの管理を行っています。
PFCは他社のようにアフターマーケット用のコンパウンドを別に用意していませんので、十分な管理が必要です。
また、サーキットによってパッドメーカーを変更し、その都度ローターに負荷をかける被膜の除去と形成を行うことはローターのライフを縮めます。本来のライフで使用するにはローターとパッドをセットで入れ替えることが必要です。

点検の結果は以上です。
なお、ご購入頂いた際に後日シムをお送りしまして、内側に3mm のクールバンドを確保して頂いた件につきましては、車体側のハブ周りの剛性不足からローターの車体外側面の中心寄りに極端な負荷がかかってフランジにクラックが入ったケースが1 件あったことが理由です。春道様のケースとはローターサイズ、車両、発生箇所が異なり、関連はございません。

お預かりしましたローターは、クラックが大きく交換が必要です。
このまま使用した場合にはクラックの進行によってローターが粉砕することも考えられます。

今後とも弊社製品をご愛用くださいますようお願い致します。



お忙しい中、大変詳細な報告書を作成いただき感謝申し上げます。
こちらの使用方法の誤りにより、起こるべくして発生した現象ということで以後注意したいと思います。


ということで早速スペアローターに交換。
ボビンのネジはインチネジ。
キャップボルトが3/16"、ナットは5/16"でネジロック塗布済み。
固定箇所が多くて結構大変でした。(締付トルク未確認に付き2kgで組み付け)



今後は過保護に使おうwww


ローター品番
左:362.32.0051.27(87)
右:362.32.0051.28(88)


投稿者 春道@管理人 : 2010年12月12日 20:58

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 コメント

1: 投稿者 なんでも屋 : 2010年12月13日 11:36 [RES]

うーみゅ...プロユースオンリーなんですね。

とてもおいらには使えそうにないです。>PFC


2: 投稿者 春道@茨城 HOME MAIL : 2010年12月13日 16:21 [RES]

>>1 なんでも屋 さん
>とてもおいらには使えそうにないです。
同じく。。。ww


3: 投稿者 omame HOME : 2010年12月13日 17:49 [RES]

なるほど、なるほど

ブレーキダクトは必要なく、パッドとローターはセットで交換がベストのようですね。勉強になりました。

春道さんは、筑波用と富士用2種類のセットが必要なんですね


4: 投稿者 春道@茨城 HOME MAIL : 2010年12月13日 20:05 [RES]

>>3 omame さん
参考になって何よりですw
おいらはもう勉強は疲れました(爆)

さすがに2セット体制は・・・・・
もー無理っす(^^;


5: 投稿者 ミスターⅩ : 2010年12月14日 18:45 [RES]

毎度のメンテお疲れ様です。

レース部品は扱いが難しいのですね?

レーシングカーにレースメカが付いていちいち点検しながら使わないとダメなのですね(笑)

先日TC2000で0秒台で連続ラップする32GTRの方がいました。

これは速いなと思い早速チェックしてみると同じローターでした。オーナーさんいわくGT500と同じローターですよ!と得意げにしていました。ローター価格が25万円との事でした・・・

まだ殆んど使ってないとの事でしたがヒートクラックが目視で確認出来ました。オーナーさんには可哀想で言えませんでしたが(涙)1~2回程度って(汗)

レース用部品はノークレームの呪文であって一般ユーザーには扱えないものなのでしょうね。

所詮レースカーは軽量で毎回交換ですしダメなら交換ですからね。

恐らく国際サーキットよりもTC2000の方が厳しいかもです。これはユーザーカーでないと解らないと思いますよ。

自分も色々なサーキットでそこそこタイム出しますが筑波は冷える区間が無いからと思います。

鈴鹿サーキットの15秒から20秒で走るGTRな方々が筑波を走ったら鈴鹿ではキャリパーが焼けなかったけど筑波1回で焼けましたからね。

いくらメーカーさんが安く出してくれてるにしてもこんな高価なローターをサクっと交換しちゃう春道さん素敵です。

で・・・いくらで出してくれたんですか~


6: 投稿者 春道@茨城 HOME MAIL : 2010年12月14日 21:23 [RES]

>>5 ミスターⅩ さん
ど、どなたでしょうか?
もしかして面識ある方ですかね?(^^;

正直ブレーキローターの扱いがこんなに難しいとは思いもしなかったです。
普通に使ってるだけなんですけど。。。いや普通じゃないのかな?(^^;
やはりレース用部品はかなり特殊な使い方が要求されるようですね。

というかミスターXさんが筑波でお会いした方っておいらじゃないですよね?(^^;
自分は尋ねられた記憶もないし、もし聞かれてもGT500と同じだなんて口が裂けても言いませんw
つか0病で連続ラップはおいらにはムリ(笑)

自分は富士では温度管理をせずに痛めてしまいましたが、筑波では結構イイ感じでしたよ。
ただ仰るようにヒートクラックは入りやすい材質ではあるようです。
レース用はこういう物なのかはわかりませんが、今まで使ってきた中でも熱への耐性はあまり高くない印象を持ちました。

鈴鹿は走った事がないですが筑波の方がブレーキに厳しいのですね。

サクッとだなんてとんでもないです(^^;
今回替えたローターはメーカーさんからの提供品ではなく、ネットで仕入れたものです。
金額はここでは言えません。
ただあまりにも安いので偽物疑惑が!?
この辺は次回の筑波で試してみようと思っていますが、最悪持ちが悪くてもこの金額なら許せます(^^;

それにしてもかなりのスキルと情報をお持ちな方のようですね。
宜しければ直接メールいただけませんか?
どうぞ宜しくお願いします(^O^)


7: 投稿者 つよぽん : 2011年01月13日 12:16 [RES]

自分も鈴鹿よりTC2000の方がブレーキが厳しいと思います^^;


自分はローターは
アペックス・PMU・エンドレス・PFCと使っていますが今の所PFCが一番いいです^^

ヒートクラックは入りますが
入ってからもまだまだいけるようです^^;

まだローターは終了まで行っていませんの
どこまで行ったら終了になるかわかったら
報告させていただきますね(笑)

自分はたまたまPFCのパッドしか使ってませんでしたが
今後は銘柄を換えるのが怖くなってしまいました^^;

ですのでこの先もPFCオンリーで行こうと思います♪


8: 投稿者 春道@茨城 HOME MAIL : 2011年01月14日 07:46 [RES]

>>7 つよぽん さん
やはり筑波はブレーキに厳しいんですね
管理にも気をつけたいと思います^^

つよぽんさんはローターパット共にPFCですか♪
一度使うとなかなか他のは試せませんよね^^

多少シビアなところはありますが自分もお気に入りです!


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